■
さういう訳で今日は戦時中に獄中で死んだ鶴彬(つるあきら)の川柳を詠む。
川柳の乾いた笑いの最終形態。
鶴彬
タマ除けを生めよ増やせよ勲章やらう
母国掠め盗った国の歴史を復習する大声
凶作を救えぬ仏を売り残し
みな肺で死ぬる女工の募集札
吸いに行くー 姉を殺した綿くずを
ざん壕で読む妹を売る手紙
修身にない孝行で淫売婦
嫁入りの晴れ着こさへて吐く血へど
もうけるのに一日二十四時間でまだ足らず
ソビエットを奪えと欠食の子をふやし
しゃもの国万歳とたふれた屍を蝿がむしってゐる
をんどりみんな骨壷となり夢精卵ばかり生むめんどり
万歳とあげて行った手を大陸において来た
手と足をもいだ丸太にしてかへし