前略。スターリン(旧ソ猫を噛む)

好きなドキュメンタリーと音楽と旅を楽しむ前提で原発の今

サイクリスト 五月の雲

『サイクリスト』(The Cyclist) イラン1989年
モフセン・マフマルバフ(Mohsen Makhmalbaf)監督

マフマルバフ監督の名を世界に知らしめた代表作。アフガニスタンからの貧しい出稼ぎの父子。妻の入院費を稼ぐため、1週間自転車に乗りつづけたら賞金をやるという見世物師の話にのるが…。イランの貧困層の苦しみを代弁し、大衆の熱狂的な支持を得た。

15時の回で観る。
冒頭からの古いメロドラマのような雰囲気に不安になったが、こんなヒネた観客(ボク)がどんどん画面に引き込まれる。「すべてのイラン人が観た」というコピーも大袈裟ではない作品。隣国の出稼ぎ親子を中心に、見世物と博打と運命の車輪は回り、主人公はペダルを漕ぎ続けていく。これを超える大衆向け作品を監督自身は作れないだろうと勝手に思い込んでいたが、後に2004イラン映画祭で観た、この前作『ボイコット』が最高傑作だった!
(040912記ス)


『五月の雲』(Clouds of May) トルコ2000年
ヌリ・ビルゲ・ジェイラン(Nuri Bilge Ceylan)監督

美しい5月のアナトリア、映画監督のムザファが新作にとりかかる。ムザファの両親、友人幼い甥など、彼を取り巻く人々の間で起こる事件を詩情豊かに描いた作品。東京国際映画祭でも上映された長編第一作『カサバ』で注目を集めたジェイラン監督の第二作。

12時半の回で観る。
家族を使って撮った作品。田舎の風景、ゆっくりとした空気。
現在、年間製作数本のトルコ映画界は低迷しているという。
こうして海外に紹介されている作品と、自国民に観られている作品の差異を想像する。