前略。スターリン(旧ソ猫を噛む)

好きなドキュメンタリーと音楽と旅を楽しむ前提で原発の今

「パーソナルソング」

今年出来たミニシアター、ユジク阿佐ケ谷で2015年の映画見納めに行く。
https://www.youtube.com/watch?v=K5DFSF4TO1Q
奥底に眠っていた記憶や身体能力を呼び覚ます音楽のチカラに驚く。

米国で元ITのエンジニアが、認知症患者の暮らす施設を訪問して、個々人が元気だった頃に好きだった曲を選んでiPadで再生させて聴かせてみる音楽療法を記録、それを普及させるために活動していく。


日本でもやれそうではある、で個人的には音楽療法の持続力はどれ位あるのかなと。あとは家族に聞き取りしないと本人が好きだったジャンルと曲が分からないかなと。自分の場合、世代で好みを決めつけられてプレイリストを流されたら、その音楽体験は拷問になるかもしれないのでー。

韓国映画1934ー1959 創造と開花「青春双曲線」(1956)

京橋フィルムセンターで「日韓国交正常化50周年記念 韓国映画1934ー1959
創造と開花 」


熾烈な朝鮮戦争が休戦になってから間もない時期に作られた「青春双曲線」(1956)を観た。
35ミリ上映予定が都合でDVD上映に。音楽満載の恋愛喜劇、思った以上にバラック暮らしと闇市成金の描写が入っていたけど、古い少女漫画的な予定調和で終わるドラマのわりに最後までおもろく見終えた。冒頭のキムシスターズの看護婦姿でコーラスは低音担当が異常に低くてとか、声帯模写でナム・インスの流行歌とか、未知のミュージカル作品として期待してたら、後半はそうでもなかったような。

中国インディペンデント映画祭2015「詩人、出張スル」

ポレポレ東中野で中国インディペンデント映画祭2015
雎安奇(ジュー・アンチ)監督2014年作『詩人、出張スル』鑑賞後に来日の監督トークセッションまで聞けてよかった。2002年の新疆ロードムービーと知れば、幻聴で勝手に刀郎が流れる。2005年夏に似たルートを貧乏旅した身としては、綺麗な山岳高原から砂漠までも全編モノクロなのは惜しい。ドキュメンタリーにしか見えない作品中に女性たちがカメラ撮られてるの許してるのが不思議。

高橋美香「パレスチナに生きる人々」

江東文化センターで写真展「パレスチナに生きる人々」パネル展示を前にしたギャラリートークを聴きに行く。占領地での苦しさを撮った写真もあるけど、子どもや家族の日常の笑顔が多め。展示で印象に残ったものに壁絵がふたつ。ひとつはパレスチナ自治政府を象徴する鷲が拳銃で自らのアタマを撃ちぬいている風刺絵。「無力感にさいなまれているのか」
もうひとつはパレスチナイラクの旗を持った不安そうな子どもをサンタクロースが抱きかかえている絵。イラクが内戦状態になっている時期で、普通ならサンタはプレゼントを配るけどココでは子どもを安全なところへ運んでいく望みを絵にしていると。


テレグラフ紙記事に別カットで壁絵の写真が載ってた。
Room, but few children at Bethlehem 'inn' - Telegraph

中国インディペンデント映画祭2015「癡(ち)」

ポレポレ東中野で中国インディペンデント映画祭
チュウ・ジョンジョン監督2015年作「癡(ち)」
長年思想犯として収容所に入れられていた老人のインタビューと、簡素な小劇場のセットを模しての淡い再現ドラマが、小刻みに交差する不思議な作品。中華人民共和国建国後の整風運動と冤罪だらけの反右派闘争が長めに描かれてるのが珍しいなと思う、しかも見てて痛みを伴わないストレスフリー。同時に起こった世紀の愚策「大躍進」で大陸中が飢餓に苦しんだはずだけど、全編淡々として生々しさは無い作風。


ラストにご本人の台詞がくさびの様に効いて来る。不当に弾圧されることによって、ひとは「それ」に成るんだなと。

中国インディペンデント映画祭2015「えぐられた目玉」「凱里ブルース」

中国インディペンデント映画祭2015
ポレポレ東中野で開催中、3回券買って視る。


徐童監督の2014年作品「えぐられた目玉」
前作同様に全身クセの強い人達が雄弁に語るドキュメンタリー、今回は地回りの芸人を撮っている。葬儀の鳴り物を担当したり遺族にお金をせびったり、ピンで即席の舞台に立って歌う様に語る、昔女関係でトラブルになり生きたまま「目玉を両方ともえぐり取られた」詳細を自らを嘆く芸。ただただ圧巻。老いた耳の遠い母を訪ねて話をするシーン、クセが妙な味になってる老漫才みたいで沁みてくる。


ビー・ガン監督2015年作「凱里ブルース」
ジャンルとしてはドラマ。冒頭から音響効果に気を取られてコレは独特だなと思わせる、映像のひとつひとつも、セリフにも何か違和感がある物が挟んで来る、それは後々の伏線的なものにループする仕掛け。後半の田舎町での迷走する様なロケ、カメラワークのヒトダマの様な動作、引きと寄りが異様で、軽く画面酔いしそうになって、受け手側の脳が視覚処理を嫌がったりもする。後になってワンカットで長時間撮ってた事に気付く。この監督の才能は突き抜けてどうかしている。

戦後70年ミニシンポ 5「南京虐殺事件から78年〜忘却化のたくらみにいかに抗うか」

戦後70年ミニシンポ – 2015年春から原宿でミニシンポを4回実施。
先日放送されたNNNドキュメント南京事件 兵士達の遺言」
https://youtu.be/GI-7PC99bLs
元従軍兵士の陣中日記を20年にわたって収集活動されている小野賢二さんのお話を直接聴く会に参加。番組は視てたのにお話を聴くまで同郷の方だと気が付かなかった。レイバーネットTV第96号の特集でもたっぷり取り上げられていた。当時捕虜大量虐殺に関わった疑いのある軍医が、戦後政界入りして福島原発誘致活動に関わっている話には絶句。
https://youtu.be/QeX3NNozVr0?t=9m55s